フォン・ヴィレブランド病 タイプ Ⅲ (シェットランドシープドッグ系)(vWD:von Willebrand's Disease Type Ⅲ Shetland Sheepdog Type)

▼疾患の概要

フォン・ヴィレブランド病(vWD)は、犬で最も一般的にみられる遺伝性の出血性疾患で、血液凝固に必要なフォン・ヴィレブランド因子が不足することで、正常な止血が妨げられる疾患です。

フォン・ヴィレブランド因子は、血小板が損傷した血管壁に正常に接着するために必要な因子であり、血液凝固に重要な役割を果たしています。

本疾患には3つのタイプがあり、タイプIIIでは、罹患犬の血液中にフォン・ヴィレブランド因子が検出できないほど少ないか、あるいは検出できない状態となります。

フォン・ヴィレブランド病の中で最も重症度が高く、重度の出血症状を引き起こす可能性があります。

▼DNA情報

タイプIIIのフォン・ヴィレブランド病は、常染色体潜性(劣性)遺伝する疾患です。

原因となる変異を2コピー保有する犬では、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)の量が著しく低下し、重度の出血症状がみられる可能性があります。

一方、原因となる変異を1コピー保有するキャリアでも、vWFの量が低下することがあります。正常値の35%未満まで低下している場合には、軽度~中等度の出血性疾患の症状がみられる可能性があります。

ただし、vWFの量や出血症状には個体差があるため、キャリアであっても必ずしも出血症状がみられるわけではありません。

▼症状

罹患犬では、以下のような出血症状がみられる場合があります。

  • あざができやすい
  • 鼻血を繰り返す
  • 明らかな原因がない状態で口から出血する
  • 乳歯が抜ける際に出血が続く
  • 手術や外傷の後に出血が長く続く

また、出血が重度となり、生命を脅かす場合があります。特に罹患犬では、偶発的な傷害や外傷、手術などをきっかけとして、生命を脅かすほどの重度の出血が起こる可能性があります。

一方、キャリアの多くでは、出血しやすくなるなどの明らかな症状はみられません。ただし、キャリアでもvWFの量が低下することがあり、その程度によっては、外傷や手術などをきっかけに出血症状がみられる場合や、血液凝固時間が延長する可能性があります。

▼早期発見と予防の重要性

本疾患は重症度に個体差があるため、出血症状がみられない犬でも、外傷や手術をきっかけとして判明することがあります。

特に、罹患犬やキャリアであることが分かっている犬に手術を行う場合には、輸血に使用できる血液をすぐに確保できるよう準備しておくことが重要です。

また、重度の出血は生命を脅かす可能性があるため、本疾患が疑われる場合には、適切な検査によって状態を確認することが重要です。

▼基本情報

カテゴリー

血液/リンパ系疾患——血液およびリンパに関連する疾患
(Haemolymphatic——Associated with the blood and lymph)

遺伝子

27番染色体上のフォン・ヴィレブランド因子(VWF)

検出されたバリアント・変異遺伝子

chr27:38868881における1塩基欠失(Tの欠失)

遺伝形式

常染色体潜性(劣性)遺伝

重症度

【中等度~重度】

罹患した個体では、臨床症状による生活への影響が大きく、一般的に寿命の短縮もみられる疾患です。

関連犬種 +
シェットランド・シープドッグ
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